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CANインベーダーとは何か?

アルファードが狙われる理由と、

純正セキュリティが鳴らない仕組み

アルファードの盗難対策を調べていると、必ず出てくるのが

CANインベーダー」という言葉です。

ただ、名前は知っていても

「結局どういう手口なのか」

「なぜ鍵をかけていても盗まれるのか」まで説明できる人は多くありません。

ここを理解しないまま対策グッズを買うと、効かないものにお金をかけることになります。

この記事では、CANインベーダーの仕組みを噛み砕いて解説し、

アルファードの30系と40系で狙われ方がどう違うのかまで踏み込みます。

まず結論

CANインベーダーは、

車の「内部通信網」に外部から割り込む手口

・鍵も窓も壊さないため、

純正セキュリティは警報を鳴らさない

・アルファードは、バンパーやフェンダーの裏から車の神経に届いてしまう構造

・電波を遮断するタイプの対策では防げない

・さらに新しい

「キーエミュレーター」には、

物理カバーも効かない

順に見ていきます。

CAN通信とは何か

現代の車は、無数のコンピューターの集合体です。

エンジン、ブレーキ、ドアロック、パワースライドドア、エアコン

これらはそれぞれ専用の制御装置(ECU)を持っています。

そのECU同士が会話するための通信網が

CAN通信(Controller Area Network)」です。

人間でいえば神経に当たります。

CANは本来、車の内部だけで完結する仕組みです。

外から他人が話しかけてくることは想定されていませんでした。

だからこそ、通信内容の認証や暗号化が甘い設計になっている部分があります。

この「内側にいる相手は信用する」という前提を突いたのが、CANインベーダーです。

CANインベーダーの仕組み

犯人がやっていることは、非常にシンプルです。

1

車の外側からCAN通信の配線にたどり着く

2

そこに専用の機器を接続する

3

「正規のスマートキーがここにある」という偽の信号を流す

4. 

車が信じてドアを解錠し、

エンジンが始動する

ポイントは3番です。

車は自分の神経を通って届いた信号を疑いません。

「キーが近くにある」と伝えられれば、そのとおりに動きます。

犯人はガラスを割る必要も、

鍵穴をこじる必要もありません。

破壊の痕跡がほとんど残らないため、朝になって駐車場が空になっているまで気づかない、というケースが起きます。

そして作業時間は数分です。

なぜ純正セキュリティは鳴らないのか

ここが一番の落とし穴です。

純正のイモビライザーやアラームは、「不正な方法で開けられた」ときに作動します。

ガラスが割られた、こじ開けられた、といった異常を検知する仕組みです。

しかしCANインベーダーの場合、

車から見ればすべての手順が正規のものです。

正しいキー信号が来て、

正しくロックが解除され、

正しくエンジンがかかっている。

異常は一つも起きていません。

だからアラームは鳴らず、

イモビライザーも仕事をしません。

「新型だから安心」「純正セキュリティがついているから大丈夫」という

考えが通用しないのは、このためです。

他の手口との違い

盗難手口はいくつかあり、

混同されがちなので整理します。

リレーアタック

玄関などに置かれたスマートキーの微弱電波を、機械で増幅して車まで届ける手口。

→ キーを電波遮断ケースに入れれば防げます。

コードグラバー

車内のOBD診断ポートに機器を差し込み、キーを複製する手口。

→ 車内に入られる必要があるため、OBDガードで対処できます。

▼CANインベーダー

車の外側から内部通信に割り込む手口。

→ キーの遮断もOBDガードも効きません。鍵をどこに置いても無関係です。

キーエミュレーター

(通称ゲームボーイ)

車両側が出す微弱な電波をもとに、その場で疑似スマートキーを作ってしまう手口。

無線で完結するため、犯人が車体に触れる時間すら短くて済みます。

→ 配線を物理的に覆う対策では防げません。

これが現在もっとも厄介な手口です。

つまり、対策は「どの手口に効くのか」で選ばないと意味がありません。

ひとつの製品ですべてをカバーすることはできないと考えてください。

なぜアルファードが狙われるのか

理由は3つあります。

▼1

海外での換金性が高い

新型アルファードは、豪華な内装と広い室内が海外の富裕層に評価されています。

盗まれた車は解体ヤードに運ばれ、海外へ不正輸出されるルートが確認されています。

犯人にとっては、確実に高値で売れる商品です。

▼2

同じ手口を使い回せる

窃盗団は組織で動いており、車両選定から盗難、解体、輸出までが分業になっています。

彼らにとって効率が良いのは

「一度覚えた手口が何度も通用する車」です。

アルファードは流通台数が多く、

構造も共通です。

侵入ポイントを一度把握すれば、

次からは数分で済みます。

台数の多さが、そのままリスクになっています。

▼3

外側から神経に届いてしまう構造

これが技術的な核心です。

CANインベーダーが成立するには、犯人が車の外からCAN配線にアクセスできる必要があります。

アルファードの場合、バンパーやフェンダーの裏、ヘッドライトの周辺にその経路が存在します。

しかもバンパーとフェンダーの接合部は、多くの箇所がクリップで留まっている構造です。

工具があれば短時間で外れます。

30系と40系で状況は違うのか

同じアルファードでも、世代によって事情が変わります。

▼30

バンパーとフェンダーの接合部が外しやすく、そこから内部へ手が届きやすい構造です。

オーナー自身がクリップをネジに交換して時間稼ぎをする、という自衛策が実践されているのもこの世代です。

被害実績が長年蓄積されているため、窃盗団にとっては「手慣れた車」といえます。

▼40

新型だから安全、ということはありません。むしろ発売後から被害が相次いでいます。

40系はランドクルーザー300などと共通の新しいCANシステムがベースになっており、ヘッドライト下のECUコネクタが狙われる対象として知られています。

30系より奥まった位置にありますが、ボンネットを開けられると手が届いてしまう、という指摘もあります。

なお、40系には純正のトヨタセキュリティシステムが装備されていますが、これで万全と考えるのは危険です。

前述のとおり、正規手順で動かされた場合には検知できないからです。

現時点で有効な対策

完全に防ぐ方法は存在しません。

目指すべきは

「犯人に時間をかけさせて、諦めさせること」です。

窃盗団は手間のかかる車を嫌い、

別の標的に移ります。

有効性が確認されている対策を、

効く手口とあわせて整理します。

物理カバー(CANガードなど)

狙われるコネクタをステンレス製のカバーで覆い、特殊ネジで固定するもの。

外すには切断するか壊すしかないため、時間がかかります。

効く手口:CANインベーダー

効かない手口:キーエミュレーター

デジタルイモビライザー

IGLAGrgoなど)

車両側に独立した認証を追加し、

正規の解錠が行われてもエンジンを始動させない仕組み。

CANラインに侵入されても止められる点が強みです。

効く手口:

CANインベーダー、

リレーアタック、

キーエミュレーター

ハンドルロック・タイヤロック

物理的に走らせない、かつ外から見える抑止力になります。

窃盗団は下見をするため、

「見える対策」には一定の効果があります。

効く手口:すべて

(ただし時間稼ぎとして)

電波遮断ケース

キーの電波を遮断するもの。

効く手口:リレーアタックのみ

CANインベーダーには無関係です。

防犯カメラ・センサーライト

下見の段階で対象から外させる効果があります。

複数を組み合わせるのが基本です。単体で完結する対策はありません。

対策の優先順位

予算に限りがある場合、次の順で検討してください。

1

デジタルイモビライザー

(複数の手口に効く)

2

ハンドルロック

(安価で、視覚的な抑止力が高い)

3

物理カバー

CANインベーダーに特化)

4

駐車環境の改善

(シャッター、照明、カメラ)

いずれも「絶対に防げる」ものではない点は、正直にお伝えしておきます。

販売店が「これで100%安全」と

説明してきた場合は、その説明自体を疑ったほうがいいでしょう。

まとめ

CANインベーダーは、車の内部通信に外から割り込む手口

・鍵も窓も壊さないため、

純正セキュリティは作動しない

・キーの電波遮断では防げない

・アルファードはバンパー・フェンダー裏から内部にアクセスできる構造

30系も40系も狙われており、

新型でも安全ではない

・さらに新しいキーエミュレーターには物理カバーが効かない

・完全な防御はなく、複数の対策を重ねて時間を稼ぐのが現実解

出典・参考

・警察庁 生活安全企画課

「自動車盗難等の発生状況等について」

・一般社団法人 日本損害保険協会「第27 自動車盗難事故実態調査結果」

・各カーセキュリティ専門店の公開情報

※本記事は防犯目的で執筆しており、盗難手口の詳細な手順は掲載していません。

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